満月前夜

行きつけの居酒屋さんが満席だったので、たまには河岸を変えようと、美味しいと評判の居酒屋さんに行きました。
歩くのに慣れていない夫は、すぐさまタクシーを呼ぶ。

お店のおかあさんが「どこから来たの?余市の人?」と訊いてきたので
今年札幌から越して来たばかりだ、と答えると、「私たちも17年前に札幌からこっちきたのよ」とのこと。
「せっかくだから、余市の刺し盛たべる?」

串も上品で美味しかったです。

結構あれこれ頼んで、満足して店を出ると夫「やっぱりタクシーで帰ろうよ~寒いよ~。トイレにも寄りたいから駅に行こう」。む~。

夫を待つ間、外でイルミネーションなんかを撮っていると駅舎から「家に帰るの?乗ってく?」と何やら誰かに声を掛けつつ、出てきた男性がひとり。
えっ私?いや知らない人だし。と思っていると彼はタクシーに乗り込む。

あぁタクシーの運転手か、ナンパかと思った(←それはない)。
でもどこかで聞いたことのある声だと思いながら、あとから出てきた夫とそのタクシーに乗ると、殆ど同時に「あ!行きのタクシーと同じ人!」

「え~すごい、まるで送迎・・・(笑)」と私。

「俺も駅のトイレに寄ってたんだよー(笑)。あの後どこの店行ったの?えっ、わさびや?俺もそこ行ってたよ女房と」

そういえば、私たちのあとから地元民とおぼしき男女が一組入ってきて、先に出ていったっけ。

「どうせなら一緒に行動すればよかったねー」と冗談を言い、夫は彼と名刺交換。


「降りる場所は呼んでくれたとこでいい?」とコンビニまで走ってくれ、短くクラクションを鳴らして去って行きました。
小さい町ならではの展開だなぁと思いつつ。

なんとなく、ここの人たちの距離の取り方がわかったような気がした夜でした。

楽園の住人

北海道生まれ北海道育ち。現在、ぶどう畑の傍に住む。