映画館で観たかったのですが、なんだかんだと叶わなかった映画。
DVDでやっと鑑賞。
『キングスマン』(2014英)
殺人シーンはいっぱい出てくるのですが流血はなく、グロというよりスカッとするバイオレンス。
日頃ぶん殴ってしまいたい相手がいる人には、とってもストレス発散できる映画でしょう。
監督のマシュー・ヴォーンは、お父さんが俳優ロバート・ヴォーン(『0011ナポレオン・ソロ』のソロ役の人)と言われていたそうですが、ティーンエイジャーになってから、実父は英国貴族だったということが判明したという、ちょっとドラマティックな生い立ちの人のようです。Wiki情報ですけど。
この人の奥さんは、元祖スーパーモデルのクラウディア・シファー。
私このモデルさん、昔すごく好きでしてね・・・特にモデルデビューしたての初々しい頃(余談)。
そんなセレブ中のセレブ「貴族」とゆかりのある人が、こんなパワフルな反体制的映画を撮るなんて、世の中わからないものです(ここから先はややネタバレになるので、未見の人はスルーしてください)。
秘密エージェント・キングスマンは組織の在り方をアーサー王伝説になぞらえていて、メンバーのコードネームは円卓の騎士の名前です。
長たるアーサー(勿論アーサー王から)や仲間同士の忠誠心はまさに騎士・・・なのですが、実は王様が一枚かんでいたのか~という話の展開から、ヴォーン監督の既存組織への反発が爆発しまくり、皮肉な「笑い」がどんどん加速します。
アーサーは、キングスマンのメンバーには血筋の良い者だけを望むスノッブです。
対して悪役のヴァレンタインは、「有識者、貴族、富裕層、有名人だけ残して、あとはお互い殺し合って世界の人口を減らしてくれればいい、それが地球のためなのだ」と提唱するアブナイ奴。
つまりヴァレンタインとエージェント組織の長アーサーには「選民意識」という共通点があるのです。
ヴァレンタインは陰謀実現のためにインターネットや科学技術を利用するのですが、スマホを持った一般人たちが一斉に殺し合う場面では、現実にありえそうでちょっと怖くなりました。
血を流す暴力でなくても、言葉の暴力、情報操作、洗脳はネット社会にもありそうですもんね。
エンドロールで「母に捧ぐ」と出てきた時に、マシュー・ヴォーンはその出自から、組織や体制への反発心、真に尊いものを見抜く目など、のちに自身の核となるものを育んでいった人なのだろうなと感じました。
そうといってセレブ以外の人たち全員にユルいわけではなく、劇中ハリーを演じるコリン・ファースに「出自は問題じゃない。マナーが紳士を作るんだ」と言わせてます。
つまり、「人として努力してなきゃ、紳士になれないのはおんなじだ」と。
私がいちばんグッときた台詞は「紳士が新聞に出るのは人生で三回だけ。生まれた時と、結婚した時と、死ぬ時だ」です。
ストイック。かっこえぇなぁ。
楽園の住人
北海道生まれ北海道育ち。現在、ぶどう畑の傍に住む。
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